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メダカと過ごす一日 medakalove.exblog.jp

大阪在住主婦の、のんびりメダカ飼育と着物を楽しむ日記です      


by Medalog

小袖展

天王寺・大阪市立美術館で開催中の展示「小袖 江戸のオートクチュール」を見てきた。

大阪市内に住んで丸1年になるのに、天王寺にはほとんど行ったことがない。
ただ一度、まだ大阪に住む前に、大阪出身の友人に「大阪で一番ディープなところ、連れてったるわ」と言われて案内されたのが天王寺動物園から通天閣のあたりだったなあ。

今回久しぶりに行ってみたら、天王寺駅前はなんとなくディープな感じが漂ってはいるが、美術館のある公園はとてもきれいに整備されていたし、美術館も大きく立派なものだった。



内容は、松坂屋の膨大なコレクションの中から、小袖を中心に能装束やお香の道具まで約300点も展示されているもの。
内容はもちろん、数のうえから言っても間違いなく見応えのある展示だった。着物で来場すると割引になるということもあって着物で行ったけれど、もしかしたら洋服にスニーカーの方がお勧めかもしれない、というほどすごい量。履き慣れた草履で行ったのに、最後のほうはなんだか猛烈に青竹踏みがしたくなるほど脚が疲れてしまった(美術館の床って、どこも硬くて疲れやすいですよね?)。



展示物は江戸中期〜後期の小袖が中心。
中期のものはさすがに退色が進んでいるが、それでも刺繍糸などはハッとするほど鮮やかな色が残っているものも多かった。後期のものは比較的色が残っていて、当時の鮮やかさが容易に想像できる。

華やかな色も素敵だし、刺繍や染め・織りの技術も素晴らしいけれど、なんといってもいちばん興味を引くのは意匠の面白さ。季節を表す草花から始まり、道具類や風景、動物など、時代によってどんどん意匠が進化していくのが手に取るようにわかる。
裾周りにやわらかな花をあしらっておきながら、袖や肩には黄金のコウモリが大きく何匹も刺繍されている小袖などは私の感性では奇抜としか言いようがないが、当時の人々はそういう柄も面白がって着こなしていたのだろう。

そして、そのような時代の先端をいくデザインの小袖を作るために存在したのが「雛形」だ。今でいうカタログかデザイン帳もしくはファッション誌の役割も果たしていたというもので、女性達はこの雛形をヒントに小袖のデザインを決めたり、または単に眺めて楽しんだりしていたそうだ。
展示物には実物の雛形はもちろん、雛形とそれを参考に作ったと思われる小袖が並べて展示されていたりして面白い。
雛形はモノクロなので(後期には多色刷りのものもあったそうだが)、これを見ながら当時の人々は色鮮やかな仕立て上がりを想像してワクワクしていたんだろうなあ。

小袖は、なんといっても「江戸のオートクチュール」。
柄や色、配置など、全て客が決めることができた贅沢な衣装だ。
客の希望に応える職人の技と膨大な手間ひまも素晴らしい。
そしてなにより、そのような贅沢さでありながら、裕福層とはいえ一般市民も着ていたというところが小袖の面白いところなのではないかと思う。活気が感じられるというか。色が褪せ、布がすり切れていても、そのパワーはびんびん伝わってくる。

こういう感じ、好きだなあ。そのまま自分の着こなしに取り入れる…とは、いろいろな意味でいかないけれど、せめて少しでもどこかで「自分らしさ」が出せたらいいなあ〜。



見終わったあとはとても満足。
ただとても疲れたし、微妙に蒸し暑い日だったので、天王寺駅の地下街で一番最初に見つけた喫茶店に入ってどかっと座り込み、大阪名物(?)ミックスジュースを2口で飲み干してしまった。展示を見たあと時間があれば日本橋のはきはきタウンにでも行こうと思っていたのに時間的にも体力的にも無理だった。
でも、私より年上とおぼしき方々が私より元気に歩いていらしたのになあ。よほど体がなまっているみたい。もっと体力を付けなくちゃ、どこに行っても疲れてしまいそうだ。



この展示に少しでも興味があるという方は、ぜひ足を運んでみてください。
ただし、できるだけ疲れにくい履き物で!
それから、真剣に見ていると結構時間が掛かるので、時間には余裕を持って。



出口近くの物販コーナーは小さいのだが、この展示に合わせてだろうか、着物関係の本がやたらと充実していた。まじめな資料的なものから、秋月洋子さんやきくちいまさん等の著作まで幅広くいろいろと…。このコーナーだけでも結構楽しめそうだったのだが、残念ながら時間切れになってしまい、少ししか見られなかった。

その少しの時間で買ったのが、この本。

小袖展_d0048332_14201844.gif「小袖雛形」青幻舎。
文庫本サイズで1200円という価格だが、希少な多色刷りの雛形本を復刻したものでほぼ全ページがカラーの図版なので、それぐらいの価格になってしまうのだろう。

小袖展の図録も欲しかったが値段が高いし、重たい図録を持って帰る気力もなかったので、展示の内容とは関係ないがこの本を買うことにした。面白い意匠のものがたくさん載っているので、ゆっくり見ようと思う。
Commented by 風子 at 2009-05-15 22:18 x
小袖展 行ってきました~。
凄かったですね。
今はもうできない手仕事を残念に思います。

でも、こんなコレクションがあったなんて、かなり驚きました。

Commented by Medalog at 2009-05-16 10:20
風子さんへ
本当にすごかったですねえ。何もかも。

こんな膨大なコレクションが、普段はどこかににしまわれているのだと思うと、不思議な感じですよね。
もしかしたら、どこかの旧家の蔵なんかにも、まだ眠っている小袖が合ったりして?なんて考えちゃいます。
Commented by 風子 at 2009-05-16 10:52 x
こないだ書いた、長野飯坂の旧家のお蔵には 2000枚のきものが眠っているそうですよ~~。
凄すぎる!
Commented by Medalog at 2009-05-16 13:01
風子さんへ
2000枚の着物…想像を絶します。
私なんかコートと浴衣、襦袢を合わせてようやく20枚かも…

しかも数だけではなくて、1枚1枚の着物がどれも素晴らしいんでしょうね〜〜〜。

by Medalog | 2009-05-13 14:22 | 生活 | Comments(4)