きものであそぼ Text Book

もらってくださる方がおられたら

年末にミワさんの上記の太っ腹プレゼント企画に応募して、3冊の本をいただいた。
(重たいのに、わざわざ京都のオフ会に持ってきていただいてありがとうございました)
ワクワクしながら持ち帰ったもののなかなか読む機会がなく、最近ようやく一番気になっていたこの本「きものであそぼ Text Book」(遠藤瓔子 著)に目を通すことができた。

この本は初心者の着物についての疑問や悩みを解決してくれるテキスト本なのだが、普通の本とはひと味違う。というのは、多くのテキスト本が「これさえ守っていれば間違いないですよ」という姿勢なのに対し、遠藤さんが第一におっしゃっているのは「いちばんいいのは、みなさんの感性で判断して、センスで着こなすことです」(「 」内は著者まえがきより抜粋)ということなのだ。

そしてなにより驚いたのはところどころに出てくる鋭いお言葉の数々。
「なるほど、そうだよねぇ〜」とスッキリ納得するところもあるが、きもの素人としては「そんなこと言ったって〜!」と反論(言い訳かも)したくなるところもあったりして。

例えば、次の部分。(「 」内は本分より抜粋)
「マニュアルに頼っていれば、自分で考える努力も必要ないし、責任を負う必要もありません。
そうなんです。着物の決まりごとは、若い人にとってはマニュアルになってしまったのです。それさえ守れば後ろ指を差されず、恥をかくこともない安心柱なのです。」


私がきもの初心者として(決して若くはないが)マニュアルに頼っていたのは、「考えたくない」とか「責任を負いたくない」よりずっとレベルの低い話で、「自分で考えていいのかどうか」すらわからない状況だったのだ。
両親は着物どころか洋服すら贅沢できない性分。戦後育ちで高度成長期を生き抜いてきた世代、特に親元を離れて遠くに嫁いだ女性には、金銭的にも精神的にも着物を着たくても着る余裕がなかった人も多いのではないだろうか。決して洋服が楽だからきものを捨てた人ばかりではないはず。着物に関しての知識があまりないとしても仕方がないだろう。

身内から着物について教わることのなかった私の耳に世間から断片的に飛び込んでくる情報は、全て「決まり事をきちんと守らないといけない」ということばかり。
その結果、私の頭の中できものの決まり事とは「きっちり守らなければ他の人に対して失礼なもの」という、冠婚葬祭マナーばりの恐ろしいものへ祭り上げられてしまったのだ。

冠婚葬祭ともなれば自分よりも相手を重んじるもので、社会人になって結婚式や不祝儀に出席し始めた時は、相手方に失礼のないように周りにあれこれ聞いたりマナーブックを読みあさったりしたものだ。
きものを着始めた時も、全く同じ心境で「この1冊があれば大丈夫!」という分厚いマニュアル本を購入し、隅から隅まで熟読して、学生時代の参考書のように全幅の信頼を置いていた。
ところがその本に載っていないことがあると、もうどうして良いかわからずに、新しい情報を求めて本を買ったりネットで検索したり…。とにかく「正解」がなければ話にならず、自分の頭で考えることなどしてはいけないとばかり思っていたのだ。
紬に合わせる織の帯を買いたかったのに、呉服店の人に「織のきものには染の帯を合わせなきゃダメ!」と言われて、本にもそう書いてあるからと仕方なく染めの帯を買ったのもこの頃。非常にレベルの低い話である。

…と、こんなグダグダした言い訳は皆さんにとってはどうでもいい話だが、遠藤さんのあまりにもきっぱりした語り口に触発され、些末なことにまで思いを馳せつつ読み進めることとなったのである。
もちろん勉強になることも大変多く、興味を持ってどんどん読んでいったのだが、読み終えての感想は「こんなにいろいろ考えながら読んだきもの本は初めてかも…」というものだった。
今まで大抵のきもの本については全てを鵜呑みにしながら読んでいたのだ。でもこの本はところどころに考えさせられる部分があった。
それは反発でもあり、反省でもあり、驚きでもあり。
また多少は自分に知識が付いてきたせいもあるだろう。

そして更に気付く。
「考える」、これこそ遠藤さんが推奨している「自分の感性で判断して、センスで着こなす」ことの第一歩ではないか。
一冊まるまる読み終わり、巡り巡ってようやっと理解したというわけだ。
何度も読み返したくなる一冊になりました。
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Commented by miwaxsmania at 2007-01-18 07:42
>「自分で考えていいのかどうか」すらわからない
ひゃ〜、Medalogさん、私もよく似たかんじだわ、と読ませてもらいました。
恐ろしいオキテがあって、間違うと鬼のような(笑)着物の番人が出てきて捕えられるような気持ちでいたのかな、とか思います。
「きものであそぼ TextBook」に書かれていることは、着物のことばかりでなく、私たちが日常を暮す上で心がけたいことまでも考えさせられた楽しい本でした。

トラックバックしていただきありがとうございました。
Commented by Medalog at 2007-01-19 22:34 x
ミワさんへ
長ったらしい駄文を読んでいただきありがとうございます。
>間違うと鬼のような(笑)着物の番人が出てきて
これ、今でもどこかにいそうな気がする! 街角のあちこちに…。怖いわ〜

この調子では一生かかっても「きもの道」を極められそうにありませんが、ま、一つの趣味として楽しく学んでいければいいか、と思います。
今後ともよろしくお付き合いくださいませ。
Commented by momorangu at 2007-01-21 14:56
medalogさん長文ご苦労様でした(#^.^#)
着付けを習っていたとき怖い番人がいっぱいいる中、
窒息しそうになり、そのお教室から足が遠のいた記憶が甦りました。

でも、今考えるとそういう人も必要だけど、全体としては、少数派で、
窒息も何もなかったんだなぁ~って!!
あんまり私が正面きって番人の言うことに耳を貸しすぎ
自分から自由に楽しむ権利を番人に委ねすぎたのかも(-_-;)

チョッとは耳を貸しあとは自分流で(あるものでアレンジしたり、今風の
アイテムを加えたりetc・・・)そのくらいノビノビやればよかったんだなぁ~
と、今は考えています。

町を歩いてミワさんやmedalogさんみたいに、自分なりに今を生きる人の感覚たっぷりの上品な着こなしのきものは、ホントいいと思いますよ!
(チョッとね、と言う人も見かけますが)着物を着て町を歩くだけで!!
すごいですよね!!そう言うパワーがこれからの着物の楽しみ方の
牽引力になるんじゃないかしら!!格式やしきたりじゃなく!!

これからも、日常生活に着物を着る楽しみ方続けてくださいね!!
Commented by Medalog at 2007-01-22 09:58 x
momoranguさんへ
着付け教室には行ったことがないのですが、基本的には決まり事をしっかり教える場所だから番人さんがたくさんいるのも仕方ないんでしょうね。
もちろん決まり事あっての応用なわけで、そこが着る人の常識とセンスが問われるところなんでしょうか。怖いような、楽しいような。
これからも、日常で気軽に着物を着る機会を増やしていきたいです。コメントありがとうございました。
by Medalog | 2007-01-17 20:27 | きもの | Comments(4)

大阪在住主婦の、のんびりメダカ飼育と着物を楽しむ日記です      


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