お茶会の着物(が、大変なことに…)

前回の記事 で、初めてのお茶会の経験談を書いた。

京都御苑内の、拾翠亭という江戸時代後期に建てられた貴重な建物の茶室で、眼前の池を眺めながら夏の茶会を楽しむ…。
誠に優雅な状況だが、そこで私は「初のお茶会に参加している」という緊張とは全く別の緊張とも戦っていた。

それは、
着物のお尻部分の背縫いが破けている!という
とんでもない状況。



朝、京都駅へ向かう電車内。
席が確保できてホッとして腰を降ろした瞬間、お尻の辺りで「プチプチプチ」というわずかな音が。
恥ずかしながら過去にも経験があるので、お尻の背縫いの糸が切れてほつれたことがすぐに分かった。

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この日の着物。拾翠亭にて。
黒地に青い松葉が小さく散りばめられた紗小紋に、絽綴れの帯。
茶会に誘ってくれたお友達からは「麻でいいのでは」と言われていたのだが、麻はシワになりやすいため茶室で慣れない正座を繰り返したら下半身がぐちゃぐちゃになりそうなのが怖い。
その点この紗小紋は全くと言っていいほどシワにならないのと、こういう機会でもなければ夏に正絹の着物を着る機会がないので、実に久しぶりに引っ張り出したのだった。

この紗小紋は頂き物で、いただいた時点でかなり古いものだった。
古くても生地がピンとしていて全く傷んだ様子がないのでまさか縫い糸が弱っているという可能性は考えてもいなかったのだが、いざ着付けて外出したら、出先でお尻が破れるという最悪の事態になってしまったのだ。
しかも、黒い着物の下は真っ白な長襦袢。自分からは見えないが、おそらく非常に目立つ状態になっている筈…

一瞬、頭が真っ白になるが、とりあえず目的地へ向かうしかない。
不幸中の幸いだったのは大きめのストールを持っていたこと。
京都駅に着いてからはストールを羽織り、お尻が隠れるように不自然に垂らしながらなんとかランチのお店へたどり着く。
お友達には申し訳ないがランチを少し早めに切り上げて、以前買い物をしたことがあるが顧客とは言えない呉服店に駆け込んで、図々しくも着物を着たままお尻部分を黒い糸で縫い止めていただいてしまった。
(後日お礼のハガキを出したけれど、いずれまた立ち寄って小物でも買わせてもらおう)

その後に京都御苑の拾翠亭へ行き、人生初のお茶会に参加したのだった。
縫い止めていただいた部分は安心だろうがその上下の部分はいつ縫い目がはじけるかわからない状態の中で、何度も正座をしたり移動しなければならない緊張感と、初めてのお茶会へ参加する緊張感。もうなにがなにやら。
ありがたいことにお茶会の最中はそれ以上縫い目が破れることはなく、縫っていただいたお店の方に心から感謝した。

お茶会のあとは、とある帯問屋さんの催事に行かせていただく。
この時にはお茶会の緊張からもお尻の縫い目が破ける心配からも解放されていて、普段見る機会がないような素晴らしい帯をたくさん見て心から楽しめた。
一通り拝見した帰り際に、畳にあった着付け用の腰紐をまたぐのは失礼かと思って立ったまま拾おうとした、その時。

今度は左の脇縫いが音を立てて破けたぁ!
う、嘘でしょぉぉぉ…

左脇縫いの太ももの部分が20cmほど破れたのを見て唖然としてしまうが、お尻の糸が弱っていれば当然他の場所の糸も弱っているわけで、お尻がしっかり補強されたために今度は他の弱い部分が切れてしまうのは仕方がないのかもしれない。
ただ幸いなことに手を横に下ろすと隠れる位置だったこともあり、手に持ったバッグとショールでなんとか隠しながらも祇園祭の鉾を楽しく見物して、左脇を隠しながら電車とバスを乗り継いで帰宅した。



古い着物は何枚も持っているし、着るのも好きだけれど、状態を常に把握していないととんでもないことになるということを身を以て実感した。
かといって糸が弱っているかどうかをどのように確認すればいいのか…
確認のために無理に引っ張って、問題なかった糸を引きちぎってしまうのも嫌だし。
最低限の策としては、古い着物を着る時には常に大きめのショールか腰まで隠れる羽織ものを持ち歩くことにしよう。

本当なら古い着物は全部洗い張りして仕立て直してもらって、安心して気持ちよく着たいところだけれど、やっぱり費用が問題になる。
自分で補強するのも、シルエットに響かないか心配だし…
また悩みが一つ増えてしまった2016年の夏です。
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Commented by amethyst at 2016-07-21 16:00 x
Medalogさん、
お着物のお話し、とても大変な一日でしたね~
よくお茶会に行く前に呉服屋さんに行く機転で乗り越えましたね。ほっとしました。
そしてその後も。。。
着物の大変さってありますよね。
私は母の作ってくれたコートを直そうとしたら
ミシン縫いと判明して断念しました。
またお気に入りの着物に予想外の皺がでてきて慌てたり。。。
洋服と違う衣服、手縫いであること、着付けで何かと
変化があったりトラブルは色々あります。
着物は魅力がありますが、そういう経験値も
必要な手ごわさもありますね。
Commented by Medalog at 2016-07-21 16:54
amethystさんへ
若い子ならともかく、この年齢になって着物のお尻周りが破れた着物で出歩くだなんて情けない話です…
今回お世話になった呉服店は、かなり前にやはり古い着物でお尻がほつれた時にたまたまこのお店にいて、店員さんが「よろしかったら軽く縫い止めましょうか?」と声をかけてくださったんです。
その時は羽織り物を持っていたので縫って頂かずに済んだのですが、今回久しぶりにそのことを思い出して図々しくも押しかけて頼ってしまいました。とても感謝していますがご迷惑だっただろうと反省もしています。

着物ならではのトラブル、悩み、多いですよね。
特に古い着物で頂き物だと、元々どのような仕立てなのかやそもそも何の素材なのかなど不明なことも多くて。
それも面白いといえば面白いのですが、外出先でのこのようなトラブルは今後一切勘弁してほしいです(笑)
by Medalog | 2016-07-21 10:47 | きもの | Comments(2)

大阪在住主婦の、のんびりメダカ飼育と着物を楽しむ日記です      


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