心地いい声

狂言だけの催しを、初めて見てきた。

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たまたまこの公演の情報を見つけて、面白そうなのでチケットを取ってみた。

演目の前に萬斎さんのレクチャートークがあり、また演目も面白くてわかりやすい2本が選ばれていたようなので、狂言初心者にぴったりの公演。
もちろん私にもぴったりで、楽しかった。



狂言は本来なら舞台の高さに近い目線で見るものなのだろうが、2階席から見てみると舞台上の役者さんたちの位置関係や動線がよく見えて、動きの美しさも堪能できてよかった。

舞台セットはなにもなし。
清々しい白木の本舞台には屋根も柱も欄干もなく、左右に橋掛りが伸びるだけ。それが研ぎ澄まされた美しさを放っていた。
演目が始まる前、シンプルな本舞台の上に吊るされている大きなしめ縄が薄暗い照明に浮き上がっているのがとても綺麗だったのだが、撮影禁止だったのがとても残念だった。



演目のひとつ「蝸牛」は、蝸牛の姿を知らぬまま捕りに出かけた太郎冠者が山伏を蝸牛と間違えてしまい、蝸牛になりすました山伏にからかわれるという有名な話。
私も過去に見たことがあったのだが、今回は萬斎さんの軽妙なレクチャーの直後ということもあり、とにかくおかしくておかしくて。
万作さん演じる太郎冠者に誰もが釘付けで、最後の方はもう太郎冠者がじっとしているだけであちこちからクスクス笑いが。そして動き出すたびに会場がどっと沸き、役者の術中に劇場中がすっぽりはまってしまった感じだった。

「岡太夫」。聟が舅の家で初めて蕨餅をご馳走になり、あまりの美味しさに家で待つ妻にも作らせたいと思うが、どうしても「蕨餅」という名前が覚えられなくて…という話。
太郎冠者を間に挟んで酒を酌み交わす聟と舅のやりとりがとても軽妙で、萬斎さん演じる聟どのはしぐさやセリフに現代の笑いを取り入れている部分もあるように感じたけれど実際はどうなのだろうか。

どちらの演目もとても面白くて、レクチャーや休憩を含めた正味2時間はあっという間に終わってしまった。



今回印象に残ったことの一つは、萬斎さんの声。
舞台上で実際に聞いてみると、実によく響く心地いい声だった。
生まれ持ったお声なのか、舞台で鍛えたからなのか。

演目中はもちろんだが、レクチャートークでマイクを通じて話しているときも話のテンポの良さと相まって実に心地よい。
その証拠に、レクチャー中に居眠りをしてしまう観客がちらほら…。

実は私の横に座っていた見知らぬ女性も、何回か船を漕いだあと徐々に私の方に傾き始め、とうとう10秒ほど肩を貸す状態になってしまった。
2階席は傾斜が急なので舞台がよく見える反面、おそらく舞台上の萬斎さんからもよく見えているので「そんなに派手に寝ちゃっていいの?」と他人事ながらドキドキしたが、それより気になったのは着物を着ている私の肩に10秒以上も髪を押し付けられてしまったこと。

この日は義母のお下がりの付け下げを染め替え・仕立て直ししたものに初めて袖を通したので、肩にその女性の整髪料とかメイクがついちゃったらどうしよう!とハラハラ。
まさか邪険に振り払うわけにもいかず、その方が自力で目覚めるまでの時間がとっても長かった!
でも帰宅後に付け下げの肩を調べてみたら何も付いていないようだったので、一安心。

まあ、その女性が悪いのではなく、萬斎さんのお声があまりにも心地よすぎたからということで。



着物については次の記事で書きます。
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by Medalog | 2015-01-22 14:33 | 生活 | Comments(0)

大阪在住主婦の、のんびりメダカ飼育と着物を楽しむ日記です      


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