2011年 12月 14日
京都四條南座 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎
京都南座の顔見世興行へ。
京阪祇園四条駅の出口を一歩出ると、ちょうど開場の時間と重なっていたらしく歩くのもままならないほどの人が溢れていたので、一度道の反対側に渡って記念撮影。
12月に入って家の掃除をしたり年賀状の準備をしてもあまり年末という感覚がなかったが、この風景を見るとなんだか急に年の瀬を実感した。
南座の顔見世興行は、江戸時代から350年以上の歴史があるそうだ。
賑々しいまねき看板や、思い思いに装って開場を今や遅しと待つお客さんたちを見ていると、江戸時代のこの場所の賑わいが目に浮かぶよう。
季節柄か、ちょっぴり漂う樟脳の香りもノスタルジー。
南座の新装開場20周年を記念して、この顔見世興行より緞帳が新しくなったそうだ。
聖護院八ツ橋総本店より寄贈、川島織物セルコン製作の「赤地草花連紋(あかじそうかれんもん)」。600以上もの色を使った綴れ織り!
あまりの豪華さと美しさに、3階席からため息まじりに眺めていたが、今思えば休憩時間にでも1階に下りて間近に眺めてみれば良かったなあ。
今回の席は3階の左壁側。
初めて座る場所なのでどのように見えるのか楽しみだったのだが、椅子からかなり身を乗り出してようやく舞台の3/4が見える程度(写真のような見え具合)で、正直なところ長い時間見ているのが辛かった。
今回は隣も後ろも空席だったので身を乗り出して見ることができたが、作法通りに椅子に背を付けたら舞台の上手1/4以下しか見えない場所だった。
花道は席の真下で、手すりから顔を出して覗き込んでも役者さんの後頭部がちらりと見える程度。これなら、たとえ花道が全く見えなくても3階正面の一番後ろのほうがいいかな〜。
今回は洋服で出掛けたので、多少辛い姿勢でも着物でいるよりはマシだったが、無理な姿勢を長時間続けるのが辛くて最後の一幕を前に席を立ってしまった。残念!
今までは安い席ならなんでもいいやと思ってチケットを取ってきた。
チケットぴあで自動的に振り分けられる席で納得していたのだが、これからは座席指定ができるというweb松竹に登録して、すこしでも楽な姿勢で見られる席を探すようにしよう…。
あ、文句ばかりになってしまったが演目はとても楽しめた。
「楼門五三桐」では、浅葱色の幕がバッとおちると桜満開の中に豪華絢爛な南禅寺の山門が現れ、石川五右衛門の名台詞「絶景かな、絶景かな……」で始まる。短い一幕だが、色使いの美しさと大ゼリの迫力は一度見たら忘れられない。
恥ずかしながら「絶景かな」の舞台が南禅寺とは知らなかった。来春は南禅寺の山門にのぼって、桜を見ながら「絶景かな」と言ってみたいわ。
「元禄忠臣蔵」はこの時期ならではの出し物で、討ち入りが終わったあと仇討ちをご公儀に届け出るシーンから、取り調べ、そして最後に浪士たちがそれぞれの預かり先へ分かれ行くまでの場面。
幕府大目付の仙石たちが、浪士を時に笑顔で「よくやった」と褒めたたえるのがなんとも不思議な印象だが、パンフレットによると作者である真山青果の思想が投影されているのだそうだ。
ここで残念だったのがやはり座席の位置。取り調べのシーンでは四十七士たちが舞台のかなり下手に控えていて、3階左側の席からは先頭に座る大石内蔵助ぐらいしか見えない。せっかく各人が討ち入りの状況や心情を語るシーンも声だけで表情が見えなかったのがちょっと残念だった。
歌舞伎は、非常におおざっぱに括ってしまうと「義理と人情と忠義」プラス「笑い」の世界かと思うのだが、芝居とわかっていても登場人物の忠義心や義理人情にほろっときてしまうのが年を取ってきた証拠かなあ。
歌舞伎を見始めたころは「着物を着てお出掛けしたい」とか「そろそろ年齢的にもこういう文化に触れなければ」という気持ちから入ったのが正直なところだが、なんだか最近はお芝居を見てほろっときたり笑ったり、綺麗なもの(特に着物)を見てうっとりしたりでいいじゃないか、という感じになってしまった。
次回はもう少し楽な席で、のんびり最後までお芝居を楽しみたい。
以下演目の覚え書き。
松竹ホームページよりコピーさせていただきました
吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎
夜の部
第一 楼門五三桐(さんもんごさんのきり)
石川五右衛門 我 當
久吉家臣左忠太 進之介
同 右忠太 壱太郎
真柴久吉 秀太郎
第二 源平布引滝
実盛物語(さねもりものがたり)
斎藤別当実盛 菊五郎
小万 時 蔵
御台葵御前 孝太郎
九郎助女房小よし 右之助
百姓九郎助 家 橘
瀬尾十郎兼氏 左團次
第三 元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら)
仙石屋敷
大石内蔵助 仁左衛門
磯貝十郎左衛門 愛之助
大石主税 壱太郎
大高源吾 亀 鶴
富森助右衛門 男女蔵
伴得介 右 近
堀部安兵衛 権十郎
桑名武右衛門 秀 調
鈴木源五右衛門 家 橘
吉田忠左衛門 團 蔵
仙石伯耆守 三津五郎
第四 六歌仙容彩
喜撰(きせん)
喜撰法師 三津五郎
祇園のお梶 時 蔵
第五 らくだ
大坂野漠らくだ住居の場
家主幸兵衛内の場
元のらくだ住居の場
紙屑屋久六 翫 雀
らくだの宇之助 亀 鶴
丁稚長吉 壱太郎
脳天の熊五郎 愛之助
京阪祇園四条駅の出口を一歩出ると、ちょうど開場の時間と重なっていたらしく歩くのもままならないほどの人が溢れていたので、一度道の反対側に渡って記念撮影。
12月に入って家の掃除をしたり年賀状の準備をしてもあまり年末という感覚がなかったが、この風景を見るとなんだか急に年の瀬を実感した。
南座の顔見世興行は、江戸時代から350年以上の歴史があるそうだ。
賑々しいまねき看板や、思い思いに装って開場を今や遅しと待つお客さんたちを見ていると、江戸時代のこの場所の賑わいが目に浮かぶよう。
季節柄か、ちょっぴり漂う樟脳の香りもノスタルジー。
南座の新装開場20周年を記念して、この顔見世興行より緞帳が新しくなったそうだ。
聖護院八ツ橋総本店より寄贈、川島織物セルコン製作の「赤地草花連紋(あかじそうかれんもん)」。600以上もの色を使った綴れ織り!
あまりの豪華さと美しさに、3階席からため息まじりに眺めていたが、今思えば休憩時間にでも1階に下りて間近に眺めてみれば良かったなあ。
今回の席は3階の左壁側。
初めて座る場所なのでどのように見えるのか楽しみだったのだが、椅子からかなり身を乗り出してようやく舞台の3/4が見える程度(写真のような見え具合)で、正直なところ長い時間見ているのが辛かった。
今回は隣も後ろも空席だったので身を乗り出して見ることができたが、作法通りに椅子に背を付けたら舞台の上手1/4以下しか見えない場所だった。
花道は席の真下で、手すりから顔を出して覗き込んでも役者さんの後頭部がちらりと見える程度。これなら、たとえ花道が全く見えなくても3階正面の一番後ろのほうがいいかな〜。
今回は洋服で出掛けたので、多少辛い姿勢でも着物でいるよりはマシだったが、無理な姿勢を長時間続けるのが辛くて最後の一幕を前に席を立ってしまった。残念!
今までは安い席ならなんでもいいやと思ってチケットを取ってきた。
チケットぴあで自動的に振り分けられる席で納得していたのだが、これからは座席指定ができるというweb松竹に登録して、すこしでも楽な姿勢で見られる席を探すようにしよう…。
あ、文句ばかりになってしまったが演目はとても楽しめた。
「楼門五三桐」では、浅葱色の幕がバッとおちると桜満開の中に豪華絢爛な南禅寺の山門が現れ、石川五右衛門の名台詞「絶景かな、絶景かな……」で始まる。短い一幕だが、色使いの美しさと大ゼリの迫力は一度見たら忘れられない。
恥ずかしながら「絶景かな」の舞台が南禅寺とは知らなかった。来春は南禅寺の山門にのぼって、桜を見ながら「絶景かな」と言ってみたいわ。
「元禄忠臣蔵」はこの時期ならではの出し物で、討ち入りが終わったあと仇討ちをご公儀に届け出るシーンから、取り調べ、そして最後に浪士たちがそれぞれの預かり先へ分かれ行くまでの場面。
幕府大目付の仙石たちが、浪士を時に笑顔で「よくやった」と褒めたたえるのがなんとも不思議な印象だが、パンフレットによると作者である真山青果の思想が投影されているのだそうだ。
ここで残念だったのがやはり座席の位置。取り調べのシーンでは四十七士たちが舞台のかなり下手に控えていて、3階左側の席からは先頭に座る大石内蔵助ぐらいしか見えない。せっかく各人が討ち入りの状況や心情を語るシーンも声だけで表情が見えなかったのがちょっと残念だった。
歌舞伎は、非常におおざっぱに括ってしまうと「義理と人情と忠義」プラス「笑い」の世界かと思うのだが、芝居とわかっていても登場人物の忠義心や義理人情にほろっときてしまうのが年を取ってきた証拠かなあ。
歌舞伎を見始めたころは「着物を着てお出掛けしたい」とか「そろそろ年齢的にもこういう文化に触れなければ」という気持ちから入ったのが正直なところだが、なんだか最近はお芝居を見てほろっときたり笑ったり、綺麗なもの(特に着物)を見てうっとりしたりでいいじゃないか、という感じになってしまった。
次回はもう少し楽な席で、のんびり最後までお芝居を楽しみたい。
以下演目の覚え書き。
松竹ホームページよりコピーさせていただきました
吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎
夜の部
第一 楼門五三桐(さんもんごさんのきり)
石川五右衛門 我 當
久吉家臣左忠太 進之介
同 右忠太 壱太郎
真柴久吉 秀太郎
第二 源平布引滝
実盛物語(さねもりものがたり)
斎藤別当実盛 菊五郎
小万 時 蔵
御台葵御前 孝太郎
九郎助女房小よし 右之助
百姓九郎助 家 橘
瀬尾十郎兼氏 左團次
第三 元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら)
仙石屋敷
大石内蔵助 仁左衛門
磯貝十郎左衛門 愛之助
大石主税 壱太郎
大高源吾 亀 鶴
富森助右衛門 男女蔵
伴得介 右 近
堀部安兵衛 権十郎
桑名武右衛門 秀 調
鈴木源五右衛門 家 橘
吉田忠左衛門 團 蔵
仙石伯耆守 三津五郎
第四 六歌仙容彩
喜撰(きせん)
喜撰法師 三津五郎
祇園のお梶 時 蔵
第五 らくだ
大坂野漠らくだ住居の場
家主幸兵衛内の場
元のらくだ住居の場
紙屑屋久六 翫 雀
らくだの宇之助 亀 鶴
丁稚長吉 壱太郎
脳天の熊五郎 愛之助
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r_gardenspace at 2011-12-15 00:38
おぉぉ!!もう顔見世行かれたんですね!
それも夜の部ですね!良いなぁ〜
3階の左側席、そんなに見づらかったですか?
それは残念でしたね。。
それに今回はお着物ではなかったのですか?
お着物楽しみにしているσ(^^;;としては残念です。
私も来週行く予定していますが、昼間なので、
実は演目は知らないのばかりなんです。
どちらも観る訳には(経済的に)いきませんしね〜(^^;;;
お席、Medalogさんはいつもぴあなんですか?
私はいつもチケットWeb松竹で取っていましたが、
自分で好きな席が確保できるとはいえ、
最近とみに良い席は高くなるばかりで、
ちょっと前ならリーズナブルだったエリアが、
1ランク高くなってるような気がします。
これは顔見世に限ってのことかもしれませんが、
一年かけてお金を貯めないと、
おダイジンな気分で観れそうにありませんね(;_;)
>忠義心や義理人情にほろっときてしまうのが年を取ってきた証拠
うふふふ‥ 大変よく判ります〜(^皿^)
それも夜の部ですね!良いなぁ〜
3階の左側席、そんなに見づらかったですか?
それは残念でしたね。。
それに今回はお着物ではなかったのですか?
お着物楽しみにしているσ(^^;;としては残念です。
私も来週行く予定していますが、昼間なので、
実は演目は知らないのばかりなんです。
どちらも観る訳には(経済的に)いきませんしね〜(^^;;;
お席、Medalogさんはいつもぴあなんですか?
私はいつもチケットWeb松竹で取っていましたが、
自分で好きな席が確保できるとはいえ、
最近とみに良い席は高くなるばかりで、
ちょっと前ならリーズナブルだったエリアが、
1ランク高くなってるような気がします。
これは顔見世に限ってのことかもしれませんが、
一年かけてお金を貯めないと、
おダイジンな気分で観れそうにありませんね(;_;)
>忠義心や義理人情にほろっときてしまうのが年を取ってきた証拠
うふふふ‥ 大変よく判ります〜(^皿^)
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Medalog at 2011-12-15 15:55
凛佳さんへ
3階左側の席は、3階の後ろよりは見やすいのではないかと期待していたのですが、背もたれにきちんと座ったら舞台がほとんど見えないし、身を乗り出すのも他のお客さんに悪いかなと思うと体も疲れるし気疲れもしてしまいました。
値段のことを言うのもアレですが(笑)、そこは一番安い席じゃないんです。だから期待していつもより高いお金を払ったのに〜と後悔しきりですが、座ってみないとわからないことだったので勉強になりました。同じ場所でも2階席だったらかなり見やすそうなんですが、お値段もグンと上がるんでしょうね…。
凛佳さんは昼の部へ行かれるんですね。ご存じない演目でも意外にお好みの内容かもしれませんし、楽しんできてくださいね!
チケットはコンサートも演劇もぜんぶチケぴで取ってしまうんですが、次回から歌舞伎はチケットWeb松竹に登録しようと思います。
一度くらいは顔見世をいいお席で見たいものですねえ。いい着物(持ってないけど)を着て、おいしいお弁当とか手配して。
あ〜あ、宝くじでも当たらないかしら?
3階左側の席は、3階の後ろよりは見やすいのではないかと期待していたのですが、背もたれにきちんと座ったら舞台がほとんど見えないし、身を乗り出すのも他のお客さんに悪いかなと思うと体も疲れるし気疲れもしてしまいました。
値段のことを言うのもアレですが(笑)、そこは一番安い席じゃないんです。だから期待していつもより高いお金を払ったのに〜と後悔しきりですが、座ってみないとわからないことだったので勉強になりました。同じ場所でも2階席だったらかなり見やすそうなんですが、お値段もグンと上がるんでしょうね…。
凛佳さんは昼の部へ行かれるんですね。ご存じない演目でも意外にお好みの内容かもしれませんし、楽しんできてくださいね!
チケットはコンサートも演劇もぜんぶチケぴで取ってしまうんですが、次回から歌舞伎はチケットWeb松竹に登録しようと思います。
一度くらいは顔見世をいいお席で見たいものですねえ。いい着物(持ってないけど)を着て、おいしいお弁当とか手配して。
あ〜あ、宝くじでも当たらないかしら?
by Medalog
| 2011-12-14 15:44
| 生活
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