夏の観劇の着物

夏の歌舞伎観劇、何を着ていこうかな。

近江上布を手に入れてからというもの、シャリッとした着心地の良さと家で洗える気安さに惹かれ、薄物の季節にはそれしか着ていない。
でも長時間座りっぱなしの観劇では、麻のシワの付きやすさがちょっと気になるし、多分着物で来場するお客さんはやわらかものが多いのではないかと予想して、久しぶりに黒の紗小紋を着ることにした。

d0048332_9505114.gif黒地の紗小紋には孔雀青(ピーコックブルー)というのか、青い松葉模様が織り出されている。
帯揚げと帯締めはそれに合わせて水色。
帯は博多八寸。

この紗小紋は頂き物で、とっても軽く着心地が最高。襦袢が透ける感じも、私には新鮮。

寸法は私には少し小さかったのだが、着物をくださった方と一緒に裄を出して自分サイズになったので愛着がある。
が、やはり正絹でお手入れ必須ということで、最近は麻ばかり着ていたのだった。

d0048332_1045089.gif前回着た時の写真。
襦袢が綿麻のやたら張りのある素材だったので、袖がハリボテ提灯のように膨らんでいるし、長着の袖口からはみ出しているし。
おまけに前帯の上下が逆という、なかなか恐ろしい着姿で京都まで出掛けてしまった3年前だった。

やわらかものの着物には襦袢もやわらかものがいいのだろうが、夏物の襦袢では持っていないので今回は麻絽の長襦袢。
多少しっくり来ない感じはするが、まあ着られないこともない。3年前の綿麻襦袢に比べれば。



…と、ここまで着付けをしたのに、結局着物では行かなかったのである。
というか、行きたくても行けなかったのだ。



〜理由その1〜
衿芯を、プラの差し込み芯ではなく久しぶりに縫い付けるタイプの三河衿芯にしてみた。
そうしたら、いつもより自然なラインなのはいいが、やわらかいので着物の衿を沿わせようとすると襦袢の衿が負けて形が崩れてしまう。
着物が麻だったらまだよかったのだが、滑りのいい紗なので着付けについつい力が入ってしまうこともあったのかも。一度着終わっても、あっちを引っ張りこっちを引っ張りといつまでたっても落ち着かず、だんだん最初よりおかしくなるような…

〜理由その2〜
着付け終わって、裾部分の透け具合を確認する。
すると、あれ?襦袢の裾が短い!
5枚コハゼの足袋が丸見えで、足首までチラリと覗いているのが透けて見える。
襦袢だけを着た時にはそんな感じはしなかったのだが、腰紐などを締めているうちに裾が持ち上がってしまうからだろう。
自宅で洗濯しているので気付かぬうちにだんだん丈が縮んでしまったのだろうか。今までは透けにくい着物と合わせていたので気付かなかったのかな。

〜理由その3〜
これが最大の理由である。
着物を着終わり、襦袢の裾が短いのが気になりつつもとりあえず帯を巻くことに。
床に置いてある帯を持つためにかがんだとき、お尻の辺りで、かすかに「ピリッ」という音が…。
ぎゃーっ、お尻の縫い目が裂けたーっ!
慌てて鏡に映してみると、背縫いに背伏がついているおかげで中の白い襦袢が見えることはないが、縫い目が二目ほどほつれているのは一目瞭然。
一応帯を結んではみたが、お太鼓のたれよりも下なので隠せない。かといって紋紗の道行を着るのは暑いし、着物も道行も黒なので傍から見ても暑苦しいだろう。
一度脱いで繕い、また着るには時間も気力もないし、近江上布に着替える気力も失せて…。



このまま着物で行くかあきらめるかを往生際悪く悩み続けたが、出掛ける20分前になって「やっぱり無理!」と決断し、急いで着物を脱ぎ洋服に着替える。
脱ぎ捨てた着物と襦袢・帯をハンガーにかけ、他の小物はまとめて衣装敷に乗せたまま放置。着物を脱ぎながら洋服は何を着ようか考え、決めた洋服を引っ張り出して着替えて、髪は和装のアップのまま(しかも慌てて着替えたので若干乱れている)。
歌舞伎のチケットと戸締まりだけは忘れないように気を付けて、20分後には無事に家を出た。が、オペラグラスを忘れてしまって残念。

大阪松竹座では涼やかな着物姿のお客さんがたくさんいらして、そういう方々を拝見するたびに自分の不手際が忌々しく悲しかった。が、いざ椅子に座って観劇すると、やはり洋服の方が楽は楽なので、今日はこれでよかったのだと自分を慰める。

皆さんがお召しの着物はやはりやわらかいものが多いようにお見受けしたが、私の目ではそれが紗なのか夏紬なのか見分けることは難しいので実際はわからない。
帯結びも様々で、半幅帯を締めている方も多かった。半幅を吉弥結びにでもすれば椅子に深く腰掛けられるので疲れないし後ろの人にも迷惑が掛からなくていいなと思いつつ、お尻が隠せないのが嫌で敬遠していたのだが、半幅帯を締めている方々の後ろ姿はみなさんキリッとしていてカッコ良かった。次の観劇の時には、私も挑戦してみようかしら。
小振りの角だしに結んでいるのがとても素敵な方もいらした。しかし角だしというのは椅子に座ったら潰れて形が崩れないのかな?角だしの形が好きで挑戦してみたいので、そのあたりがちょっと気になった。



そんなわけで、いろいろ課題が出来てしまった。
・紗小紋のお尻部分を繕う。これは応急処置なら自分で出来る。
・麻絽襦袢の丈を伸ばす。これは自分でできるのかな〜〜〜?
・三河衿芯の縫い方、使い方をもう一度練習。
・博多八寸が上手く結べずお太鼓が落ちてきそうだったので、それも練習。

ぼちぼち頑張ります。涙。
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Commented by r_gardenspace at 2010-07-11 23:44
Medalogさん、こんばんは!
コメントしようしようと思いつつ、遅くなっちゃいましたm(_ _)m
歌舞伎に行かれたんですね!良いなぁ。
でも先ず着付けに苦労されたんですね! 解るわ〜!
いつもなら全く考えなくていい場所に神経を使わなくちゃいけないですもんねぇ!
しかも ほつれが見えましたか?!
なんか想像できないですが、気になったらもう、どうしようもないですものね!
(でもお洋服の方が良かったかもですね!→のつぶろぐを読んで(笑))
襦袢の事、そうかぁ、私も夏になる前にチェックしておこう!
歌舞伎と言えば、秋には平成中村座が大阪城公園でありますね!
これは行かねば!!ですよね!b(^^)
Commented by Medalog at 2010-07-12 08:09
凛佳さんへ
着物を着る回数が増えて、着付けに慣れてきたつもりでも、久しぶりに着る着物の着付けには毎度手間取ってしまいます。
言い訳のようですが(笑)この着物はちょっと糸が弱っているんだと思うんです!あと、ちょっと小さめなのでタイトに着付けをしてしまったのかな…着物のお尻が破れるなんてお恥ずかしいです。
でもこの日はつぶろぐの通り、結果的には洋服で行って正解みたいでした。

平成中村座のこと知りませんでした!素敵な情報ありがとうございます。
今は歌舞伎座が改築中ですから、東京の歌舞伎役者さん達を地方で見るチャンスが多いのでしょうか?毎年のイベントなのかな。
どちらにしろ、チケットが取れたらぜひ行ってみたいです。
Commented by 神奈川絵美 at 2010-07-17 00:39 x
こんにちは! 黒の紗小紋、透け感がキレイでしたのに残念でしたね…私も実は先日、小千谷の身八つ口の縫い目がほどけてしまいました。目立たなかったのでそのまま出かけてしまいましたが(笑)。
黒の夏着物、私も持っているので判りますが、襦袢が短いと目立ってしまうのですよね…なかなか難しいです、黒っぽい色って。
Commented by Medalog at 2010-07-19 00:05
神奈川絵美さんへ
私も身八つ口のほつれならそのまま出掛けてしまうかも!
でも今回はお尻の部分で、上りの階段やエスカレーターでちょうど人様の目線に来る感じのところなので、諦めました。
それに、出先で立ったり座ったりしているうちにどんどんほつれが広がりそうだし…。残念でしたがまた挑戦の機会をうかがっています。

黒い夏着物の透け感、綺麗に決まればカッコいいだろうと思うのですが、今回はダメでした。
あとで襦袢の丈を測ったらそんなに短くないんですけど、麻の襦袢なので着ているうちにシワが寄って上にたくし上がっていくのかもしれません。次回のために練習しなくては!!!
by Medalog | 2010-07-09 11:19 | きもの | Comments(4)

大阪在住主婦の、のんびりメダカ飼育と着物を楽しむ日記です      


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